2007年05月17日

第二部 17話

「はあぁ〜」
ため息が蒼い空にとけていくように、間の抜けた音が流れていく。sakuraは晴れ渡るテモズの風景を、ぼんやりと眺めていた。本当に久しぶりな気がする。闘技場を覆わんばかりに茂る木々も、やわらかな木漏れ日すらも、なんだか懐かしい。
「つかれた」
呟きはこぼれ、大地に滲む。
あのクラーブでの一件があってから、クリタロス騎士団全員に召集がかかった。内容は「模擬戦闘訓練」である。模擬と名打っていても、飛来する魔法弾や襲い掛かる刃は真剣そのもの。
ある者は逃げ惑い、ある者は反撃に転じ、ある者は知らない内に倒れていた。
魔物相手とは違う、人間同士の戦いだ。
「なんで」
戦わなければならないのだろう。

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posted by さくらもち at 12:43| Comment(4) | とある魔法師の物語

2007年05月12日

第二部 16話

『君が生きる意志を持たないなら、何もかも無意味なんだよ』
ぼんやりと立ち尽くすsakuraの脳裏に、先刻の言葉がリフレインする。。このおかしな世界では、冒険者は「死なない」ように出来ている。その事実が、奇妙な自信を生み出していたのか。
ふいに、初めて魔法でモンスターを倒した頃を思い出していた。死にたくないと、無我夢中で杖を振り回した。ほとばしる閃光に、焼け焦げる臭いがして、自分が生き延びた事を知る。あの言いようのない脱力感は、きっと「安堵」と呼ぶのだろう。
「このアホを助けてくれて、ありがとう。ええと、大将殿?」
Wishの言葉に我に返る。だが抗議しようとした口は、凛によって塞がれてしまった。
「もがもが〜っ」
「さっきも言ったが、気にしなくていい。ただのお節介だから」
「そうそう。仲間を置いて走り出すくらいには、な」
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posted by さくらもち at 22:28| Comment(0) | とある魔法師の物語