2007年06月29日

第二部 23話

「い、いい一撃だ」
思わず本気で殴ってしまったのに、竜虎は倒れるどころか笑ってみせた。その強さに憧れたのだと、改めて思う。
「これならもう、お前一人でも大丈夫だな」
「ええ!?」
無理無茶もいいとこだ。ブンブンと首を振るエロンを、彼の手がふわりと包み込んだ。大きな手のぬくもりに、なんだか安心してしまう。けれど、ほんわかとしているヒマはなかった。いきなり乱暴にかき回されて、せっかくの髪がクシャクシャになってしまう。
「虎にぃやん!」
「信じろ、お前自身の力を」
「・・・・」
「大丈夫だ。いつでも見ているから」
側にいて。離れないで。ここにいて。
ノドにまで出そうになった言葉は、何故か出てこなかった。怖いのに、絶対無理だと思うのに、固まったみたいに声が出ない。
「安心しなよ、エロン。そのヒト、たぶん過保護なタイプだから」
クスクスと笑いながら、sakuraが言った。
「え?」
「物陰から、ジーッと見守っていたりしてね〜」
やりかねないわよ、と楽しげに付け加える。
「え、えと。それはそれで、嬉しいかな・・」
自分で言ってみて、ちょっと恥ずかしい。そっと顔色をうかがうようにsakuraを見たら、何故か表情が凍りついていた。
(あ、あれ?? 何か間違えちゃったかな?)

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posted by さくらもち at 16:00| Comment(3) | とある魔法師の物語

2007年06月22日

第二部 22話

バケモノがうろつくダンジョンを、男女の影が走っていく。一人、やや遅れて走りながら、前を行く後姿を見つめた。
(いいな・・)
青白い鎧は、まるで目印のように輝き映る。それは彼の意思の証であり、ゆるぎない誇りでもあった。幾多の傷を負いながらも、その歩みは決して止まらない。
堂々として、大きな背中を見つめているのが好きだった。
今はその背中が二つある。ほっそりと頼りなさげでも、騎士の鎧のごとき姿に迷いはない。年齢は自分とそんなに変わらないか、もっと幼いくらいのはずなのに、戦いなれているような気がした。
対照的な背中が、並んで駆けていく。
いつか、そうなりたいと願った光景が眼前にある。
(うらやましいな)
エロンは、小さくため息を吐いた。



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posted by さくらもち at 20:53| Comment(0) | とある魔法師の物語

2007年06月21日

その十四(裏)

遠き昔を思い出す毎日更新。廃寸前だね、桜さん!!
・・・・仕事はちゃんとしてますよ? お金なくなるから(笑
LV125くらいからニブルガルに居座っているせいで、ニブの記憶しかなかったみたいで。130までの軌跡を少々追加補てんいたします奮闘記その十四(裏)です。
過去を思い出し、以前の口調ではじまりはじまり〜♪

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posted by さくらもち at 10:08| Comment(0) | 日記

2007年06月19日

その十四

流れに流れたへっぽこ実話14回目は!!
2時間に6回も逝ったカワイソウなオンナノコの話から始めましょう・・。LV130こえたのに、あいかーらずですよ桜琳さん!
※うち2回はサブ弓です・・。

魔法師てのは打たれ弱いです。なので8次装備の途中から赤振り赤振り。つまり、レベルアップポイントをHPに追加してたんですね〜。おかげさまで、ちょっとした数値になってました。POTもいい感じに増えてた。なくなるの早いけど!
Sクエも終わったので、熱に取りつかれたかのように9次作成へ突進したならば。ならんでもいいのに、130なった辺りで全部そろってしまいました(笑。杖は借りてたので、揃ったというのはちと違うかな。まあ、いい。ムリヤリ着たから。
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posted by さくらもち at 16:28| Comment(3) | 日記

2007年06月15日

第二部 21話

「あっ、あのあのッ」
「落ち着いたか?」
あきれ気味の声に、慌てた調子の娘が割り込む。
どこまで歩いてきたのかと思えば、ペントレンの店がある横の空き地だった。デンと真ん中につき立てた木の板には、堂々と『青空アジト』の手書き文字がある。
(あおぞら・・)
建物どころか、アジトの領域を示すものなんか何もない。まして、どこの騎士団のものかも分からない。引っこ抜かれてしまえば、それで何もわからなくなってしまう。
そんな立て札の上に、その男はどっかりと腰を下ろした。
「時間がない。ざっと確認するぞ」
「はいっ」
「その前に質問」
「はいはいはい。なんですか、ねぇやん!」

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posted by さくらもち at 22:01| Comment(5) | とある魔法師の物語

2007年06月14日

第二部 20話

テモズに着いてすぐに、sakuraはセニエの元へ向かっていた。
「おぅ! 大変だったみたいだなッ」
「どういうこと?」
自然に声が低くなる。いつもと変わらぬテンションで、闘技場の管理人が出迎えた。それも、何が起きたのか知っているようでもある。守銭奴で悪名高いマテラの息子は、やはり街の評判は悪かった。
『あやつとは、関わりにならない方がいい』
神経質そうな老人の忠告が、今になって身にしみる。
「どういうって・・・・、そいつぁ俺が聞きたいくらいだぜ。今じゃケロドの話で、街は大騒ぎだ。おおかた、アンタをつけ回していた連中の仕業だろうが」
「旅行者に、会ったよ」
「ほう! で、そいつはどうなった。ま、まさかッ」
彼女の顔色から察してか、セニエは大げさに身体を揺すった。

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posted by さくらもち at 21:23| Comment(0) | とある魔法師の物語

2007年06月02日

第二部 19話

「始めなきゃ良かった・・」
同行者に聞こえないだけの声で、sakuraはぼやいた。
ケロドのモンスターなど、今の彼女には雑魚同然だ。閉ざされた道を探して、魔紋を辿った記憶はまだ新しい。そして、その後の出来事は嫌でも鮮明に甦る。
『殺しておこうかと思ってな』
ヤツにとって、自分は雑魚同然だ。
その事が、無性に悔しかった。
「では適当に散策してきますので、桜さんはいつもの通りに」
「何がいつもだ、何が」
「桜ねぇやん、頑張ってください!」
「うん、がんばる〜・・」
ブンブンと手を振るエロンに笑顔を送り、またこっそりとため息を吐く。
「なんで、ついてくるのさ」

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posted by さくらもち at 19:16| Comment(3) | とある魔法師の物語

第二部 18話

ざり、と足元で音がした。
久しぶりに来たペマーデンは、相変わらずの風景だった。どんよりとけぶる大気に、うっすらと見えるのは金髪の裸女。ゆらゆらりと手招きしながら、爛々と光る目は死人以外の何者でもない。
ガサガサと鬱陶しい音はフォレクの葉音だろうか。かつては川のせせらぎが聞こえる名所だったなんて、そんなのは知らない。
自分が来たのは、荒野と化したヘルマーシュ大陸だ。そしてわずかに残った安全地帯に封じ込められた民と、退屈をもてあます神が望んだ異邦人にすぎない。
「ふ・ざ・け・ん・な・アアァ!!」
身の内にくすぶる怒りを、単語を発するごとに爆発させていく。倒し損ねたボノーイの棍棒が、コツンと鎧に当たる。
「ああん?」
ギロリと睨む殺意の光は、モンスターすら怯えさせる。
「ファイアフィールド!!」

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posted by さくらもち at 19:11| Comment(0) | とある魔法師の物語