2007年08月31日

第三部 8話

一瞬、時が止まった。
まさか魔法師が杖でぶっ叩くなんて、誰も想像しなかったに違いない。
「痛いぞ、へっぽこ娘!」
「だぁれが、ペッタンコよッ!」
(気にしてるんだなぁ)
団員のsakuraに対する感情がちょっとUPしたのは、また別の話。
双方の体力も回復した今、戦いはふりだしに戻っていた。10人近い人数に囲まれながら、余裕めいた胡伽の様子は変わらない。不死身ともいえる亡霊の体だから、死なないとでも言いたげだ。
だが、それはsakuraたちも同じだ。たとえ神のイタズラだとしても、肉体が完全に滅びる事はない。テモズとクラーブの往復時間に目を瞑れば、何度でも挑戦できる利は大きい。竜虎の存在はいわずもがな、シールド・バインド・ヒールを使いこなす聖に、二人の大魔法師も揃っている。
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posted by さくらもち at 15:44| Comment(4) | とある魔法師の物語

2007年08月29日

第三部 7話

真新しいクレーターに鎧の残骸が散らばっている。
無理もない。魔法師たちによる魔法攻撃と、アーチャーの一斉射撃を受けたのだ。
「……」
だが、各々が持てる最上の攻撃を以ってしても、Wish達に安堵の色は浮かばない。荒い息を吐くsakuraの隣で、様子を伺うようにギアが首を伸ばしていた。
「気を抜くな、よ」
しゃがれた声がして、うめき声にも似た咆哮を上げる。見れば、竜虎が突き刺さった大剣を引き抜くところだった。えぐられた傷口から、鮮血が勢い良く噴き出す。にもかかわらず、その足取りはふらつくこともない。
懐からポーションボトルを引きずり出すと、一気にあおった。こぼれる口元を手でぬぐい、竜虎は大きく息を吐いた。
「あいつは、胡伽は……俺たちの知っている胡伽じゃない」
「…だね」
「それでも、このままって訳にもいかないでしょう」
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posted by さくらもち at 19:16| Comment(4) | とある魔法師の物語

2007年08月28日

オフ会お疲れ様でした!!

力尽きたので、

今日はこの辺で退散…

みなさま、本当にお疲れ様でした〜♪


続きができました
posted by さくらもち at 01:33| Comment(5) | 日記

2007年08月27日

第三部 6話

※一部流血表現あります。ご注意を

ゴトリ、と兜が地に落ちる。
だが、それ以上の事は起きなかった。血が吹き出すはずの斬り口はそのままで、落ちた兜だけがゴロゴロと転がっていく。まるで空っぽのビンのように、重みというものが感じられない。
「フ、フフ・・・・ハハハハハハ!!」
いきなり、声だけが響く。
「ひっ」
「実にいい攻撃だ。さすが、あれの選んだ魂だけあるな」
「あ、頭を落としたのに・・」
マンキンが、がく然と呟く。
様々なモンスターを見てきた彼らでも、さすがに信じられない光景だった。頭のない鎧戦士が普通に歩いていって、自分の兜をはめ直したのだ。途端に、双眸には殺意の光が宿る。
「実にうまそうだ」
たとえるなら、肉食獣が捕食を始める直前のような緊張感。
圧倒され、気を呑まれた。その一瞬で全てが終結した。

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posted by さくらもち at 23:08| Comment(1) | とある魔法師の物語

2007年08月24日

第三部 5話

『クラーブへ』
走り出そうとしたギアは、後方を振り返った。
「さくらちん?」
「・・なんでもない」
そう言った割に、どこか表情がかたい。何か言おうとしたギアを、sakuraが手で制した。
「行こう。嫌な胸騒ぎがする」
「う、うん」
二人の想像している事は、きっと同じだろう。けれど、口にしてはいけないような気がした。心臓はうるさいほどに強く脈打ち、力みすぎた足がもつれて転びそうになる。背中に流れる冷たいものを振り払うように、テモズの中央広場へと急ぐ。
はたして、そこには金銀の鎧が待ち構えていた。sakuraは軽く睨むようにして、彼女たちに言った。
「止めても無駄ですからね」
「止めないよ」
「・・時間が惜しいわ。早く跳びましょう」
「まだ一人来てない」
touyaはため息を吐くと、携えた杖を持ち直す。魔力を吸い取ると云われたフレキスタッフが、今は黒いオーラをまとっているように見えた。彼女の両目を塞ぐ赤いラインが、禍々しさすら感じさせる。
「先に行く」
「あ、あたしも!」
「オレもッ」

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posted by さくらもち at 21:57| Comment(4) | とある魔法師の物語

2007年08月17日

第三部 4話

「だるい」
疲れ切った声が洞窟に響く。
「帰りたい」
「帰れば」
凛の冷ややかな声が切り捨てる。
「え〜」
「文句言うなら、手伝ってよ!」
「えぇ〜」
「そこはそれ、チームでの参加は認められていないようですから」
「はあぁ」
いけしゃあしゃあと言ってのけるJを横目に、ギアがあらぬ方向へと走っていく。見ているのは飽きたらしい。
「ったく、もう。いつの間にかsakuraちゃんは見失うし、デメラトンは硬いし・・」
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posted by さくらもち at 20:58| Comment(5) | とある魔法師の物語

2007年08月10日

第三部 3話

第一回戦のノルマもほぼ終わりかけた頃、sakuraはふいに眉間のシワを深くした。
「どうした?」
「何でもない。ロクでもないコトを思い出しただけ」
地下洞窟を、風が吹き抜けていく。墓地でもあるクラーブは、何とも言えない臭いが漂っていた。モンスターたちの悪臭だけではない。肌で感じる嫌な感覚が、ぬるりと撫でていく。
「――っと、これでラストね」
「お疲れさん」
「ホントに何もしなかったわね、暇人」
「手を出したら、怒るだろうが」
「当たり前」
他の参加者はどうだったろうか。マンキンはともかく、クリタロスの皆もてこずるような相手ではないはずだ。
吐息ひとつ、sakuraはリターンスクロールを発動させた。
「…あっちゃ〜、置いてかれた」

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posted by さくらもち at 18:16| Comment(0) | とある魔法師の物語

2007年08月08日

第三部 2話

むすりとへの字口に、寄った眉は深い谷間を刻む。さても分かりやすすぎる不機嫌顔に、思わず噴き出してしまった。
「なんでついてくるですか!?」
「面白そうだからな」
「迷惑です邪魔です一人で十分ですッ」
口調こそ丁寧なものだが、ズンズン歩いていく様はまるで拗ねた子供のようだ。怒りがそのままゆらめきながら、彼女の輪郭をあいまいにする。
それでも、モンスターの不意打ちを許さない辺りは流石と思う。第一回のお題はサイニック50体だ。アルモの監視があったとしても、手抜きをするような性格ではない。
「へっぽこ魔法師改め、へなちょこ魔法師と言った所か」
「全然良くなってない」
「なんだ、聞こえていたのか」
耳ざといと笑えば、さらに睨まれる。
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posted by さくらもち at 12:13| Comment(0) | とある魔法師の物語

2007年08月04日

第三部 1話

ひとときの休息を終え、戻ってきたテモズはなんだかにぎやかだった。
「なになに? 何事?」
「あ、sakuraさん」
人だかりの中で、一人の弓師が振り返る。短く刈り上げた髪も涼しげに、人懐っこそうな笑顔を浮かべた。
「こんちわ、まんちん」
「マンキンです・・」
「うんうん、まんちんだねぇ」
「・・・・いいですけど」
あきらめたのか、マンキンは苦笑いで済ませた。
「狩猟大会があるんですよ。トール主催の」
「とーる?」
「sakuraさん、トールを知らないんですか」
「えと、北の神様でハンマーぶんまわしてる・・・・アレ?」
「ハンマーも装備しているか知りませんけど、神様じゃないですよ。テモズを管理しているネトランの団長です」
「ねとらん??」
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posted by さくらもち at 15:36| Comment(2) | とある魔法師の物語