2008年02月29日

第四部 7話

全力疾走したおかげで、一同はすぐに出口へ集まっていた。それを追いかけるモンスターの集団も徐々に数を増やしていく。
「セルバブにトキシックですか、全く節操のない・・。あちこちの魔物を寄せ集めたっていう感じですね」
「いや、冷静に批評している場合じゃないから」
「あ、ほら。押してダメなら引いてみろ、って言わない?」
「扉そのものが熱くなっていて、触るどころじゃないですよ!」
ほら、と見せるマンキンの手は見事に焼けただれていた。
(触ったんだ・・)
「痛くないんですか、全く。ちょっと貸しなさい」
「あ、はい。スミマセン・・」
かろうじて扉らしきカタチをしているだけで開かないのならば、周りを囲む岩と変わらない。それぞれが岩壁を背に、弓や魔法で応戦するものの、熱のせいで命中率も上がらなかった。
流れ矢に当たるとまずいので、戦士と聖騎士は珍しく後方で待機だ。接近してくるモンスターがいないのは幸か不幸か。
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posted by さくらもち at 22:37| Comment(2) | とある魔法師の物語

2008年02月22日

第四部 6話

「な、なんだこれ・・」
誰か呟いた言葉は、そのまま皆の心境そのものだった。
視界が揺らぐ。まるで蜃気楼か、陽炎の中に入り込んでしまったかのように境界線があやふやだ。ぼやけたラインがグネグネとねじれ、頭の中までおかしくなりそうになる。
「熱気のせいだな」
Wishが言った。
「言われてみれば、やけに熱いですね」
「うん、むわ〜っとするね」
「クラーブって、こんなに熱かったっけ?」
重装備の代名詞のような聖騎士たちは、既に声もない。彼らが黙々と歩みを進める隣で、弓師たちはうんざりとした様子で手をパタパタさせていた。
にじむ汗が、歩くたびの振動が、体力を少しずつ削っていく。
「竜虎の所為じゃない?」
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posted by さくらもち at 16:37| Comment(2) | とある魔法師の物語

2008年02月14日

へっぽこ魔法師の奮闘記・番外編

人生というものは、きっと甘くない。
「sakuraちゃんの事好きだなぁ」
「へ?」
ふいに転がりでた台詞に、sakuraは思わずグラスを取り落とすところだった。当の本人はニコニコとしているし、冗談やふざけて言うような性格でもない。
たまたま同席していたWishがニヤリとした。
「・・出た。ころりんの告白」
「ええ? そんなんじゃないよ」
「ひどい!! もてあそばれた!」
「違うってば」
「ころりんはね、前にも団員に大告白したことあるのよ」
「二股?!」
「あのねぇ・・、ちょっと二人とも?」
呆れ気味に止めようとする凛には構わず、sakuraが身を乗り出す。
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posted by さくらもち at 14:06| Comment(0) | とある魔法師の日常

2008年02月08日

第四部 5話

たっぷり食べて(呑んで)、存分に寝た後にやる事は決まっている。
「運動!!」
「その杖壊したら――・・」
「あーあーきこえなあぁ〜い」
クロロレンスからテモズへと場所を移しても、ぞろぞろと歩く一行の面子に変わりない。まるでそれが当たり前のように、彼らはキンストンの前へ向かっていた。
「sakuraちゃんって、ヘンな所で素直だよね」
「約束できない事は返事しない」
「そうそう」
「外野うっさい!」
怒鳴りながら、振り向いたその鼻先を何かが掠めた。かすかに振動の余韻よいんを残すそれが、幅広の剣でなければどうなっていたことか。
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posted by さくらもち at 18:38| Comment(4) | とある魔法師の物語

2008年02月02日

第四部 4話

「あ〜、つっかれたー」
「お疲れ様」
ゴロンと横になるsakuraの横に、ころりんも腰を下ろす。思わぬボス戦で一時休戦となり、クリタロスの皆はクロロレンスに帰還していた。
「転がるだけで、よく疲れるね」
「あ、団長。お疲れ様です!」
「おつかれーっす」
「・・sakura」
「あい?」
「一応女の子なんだから、そういう格好は止めなさい」
「ふむ」
改めて自分の姿を見下ろせば、申し訳程度の鎧がスカートのように広がっている。魔法師の装備が露出度高めなのは周知の事実で、あおむけになれば色々と全開になってしまう。
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posted by さくらもち at 01:17| Comment(2) | とある魔法師の物語