2008年03月26日

第四部 11話

両手足に4つ、胴の前後に2つ、そして両頬に刻まれたルーン文字が光を放つ。勝利と生命力の呪を顔に宿した魔法師は今、どんな姿になっているか自覚しているのだろうか。
「戦士に肉弾戦を挑もうなど、百年早い!」
怒鳴り、魔力を帯びた杖ごと弾き返した。
小柄な体はまともに衝撃をもらって、そのまま後方へと転がっていく。それでも途中で地面にくらい付き、ギッと睨んできた。
「――ッ!!」
その眼は、どこか血の色を連想させる。
褐色の肌に緋色の髪がからみつき、ヒビ割れて欠けた鎧からは真新しい血が流れ続けていた。傷を癒す間もなく、戦闘にもつれこんだのだ。
にもかかわらず、彼女の力は衰えるどころか狂気じみた威力を発揮する。
「それが……奴に与えられた『力』か」
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posted by さくらもち at 18:09| Comment(3) | とある魔法師の物語

2008年03月21日

第四部 10話

「その前に湖伽」
「・・何だ。命乞いなら聞かんぞ」
「なーんかさ、忘れてやしないかい?」
ニヤリとWishが笑う、その時だった。
「んがあああああぁっ!!」
ラニアスの断末魔よりも高く、鈍く、そして濁った音を立てて、ついでに細かな破片も四方八方に飛び散る。
「ほらね」
もう三度目ともなれば、仲間たちもすっかり慣れたものだ。
ある者はとうに避難しているし、ある者は器用に破片を避ける。これ以上ダメージをもらいたくないというのもあったが、我らがへっぽこ魔法師がやられっ放しでいるはずがないのである。
「きぃ〜さぁ〜まあぁ〜!!」
ゆらりと立ち上がる身体に、9つのルーン文字がぼうっと光を放つ。
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posted by さくらもち at 17:21| Comment(3) | とある魔法師の物語

2008年03月15日

第四部 9話

「ちぃっ」
苦し紛れの魔術が、閃光をばらまいて発動する。
誰もが瓦礫がれきと共に落ちていく中、それは一瞬だけ人の形をとったように見えた。再び光の塊になっては飛び上がり、かなり離れた距離で白銀の鎧に姿を変える。
「間に合え!!」
魔術師たちが唯一持ち得る召喚魔法フェロウによって、クリタロス騎士団の全員を光が覆った。彼らの消えたわずかな隙間は、あっという間に残骸が押しつぶし、ラニアスと共に盛大な土煙を上げる。
「ぎゃああぁっ」
「・・あのさぁ」
ぽりぽりと頭をかきながら、Wishが苦く笑った。
「もうちょっとカワイゲのある悲鳴を上げられない?」
「無茶言うな!」
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posted by さくらもち at 21:17| Comment(4) | とある魔法師の物語

2008年03月14日

へっぽこ魔法師の奮闘記・番外編その2

「ころりん」
「凛」
街でかけられた声に、凛は軽く息を吐いた。何度訂正しても、彼女は変えてくれる気配がない。
「お返し」
簡潔すぎる声がして、凛の額を何かが小突いていった。
「いった・・。sakuraちゃん、何よ?」
「だから、お返し」
「へ?」
彼女は訳も分からず、きょとんとする。対するsakuraの方は、無言で足元を見ろとジェスチャーで示した。口で言えばいいのに、そういう微妙に面倒くさがりな所がある。
「もう、何なのよ・・・・あ、アメだ」
「赤いのがHP回復。青いのがMP回復」
「なんだ、変身しないのか」
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posted by さくらもち at 15:26| Comment(2) | とある魔法師の日常

2008年03月07日

第四部 8話

魔法師は莫大な魔力保持量が取り柄であり、命綱でもあった。それがどんどん減っていくのを感じながら、touyaは呟いた。
「まずいな」
「え、何か言った?!」
「……」
ラニアスの攻撃も凄まじいが、応戦する仲間たちの繰り出す技も強力なものばかりだ。的を外せば、頑強な床が花のように弾けて咲く。命中すれば、怒り狂ったラニアスの咆哮が轟く。
狩場を転々と変え、初期の頃よりもずっと強くなったと感じていた。雑魚じゃ相手にならない。もっと強い敵を探して、もっと珍しいものを見てみたい。
それは単なる気の逸りだったのか。
「きゃああっ」
「凛! …ぐぉおッ」
「常に一定の距離を保つように心がけろ! 近づけば、へっぽこの二の舞だぞ」
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posted by さくらもち at 20:12| Comment(4) | とある魔法師の物語