2008年05月31日

第四部 17話

へっぽこ魔法師と弓娘たちが、突如現われたカテル神像相手に奮戦している頃。
「・・・・さて、どうしたものか」
吹き抜けの廃墟と化したクラーブで、誰ともなしに呟いた声が風に流される。彼が見つめているのは、一際大きなクレーターの中心部だった。そこには粉々に砕かれた武器の残骸が散らばっている。
「何か、あったというのが正しいでしょうね」
鎧に包まれた手で、柄だった部分を拾った。
強力な力でへし折ったにしては、それぞれのパーツが細かすぎる。だが、魔法以外にルーン強化された武器をバラバラにする事ができるだろうか。
「しかも、理由がない」
そう言いながらも、Jはある予感に眉を寄せる。
とても悪い予感。
そして、それは確信に近いような直感。
幾多の戦場を潜り抜けてきたからこそ分かる感覚。
とある戦士の墓標は、今やぽっかりと空いた穴だけ――


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posted by さくらもち at 04:42| Comment(1) | とある魔法師の物語

2008年05月23日

第四部 16話

深く考えたら負けだ。
そんな言葉が、灰になって消える氷の魔人から聞こえたような気がした。血飛沫はとうに谷の養分になってしまっている。モンスターの大小に問わず、その死体はきれいになくなる。便利だと思う反面、どこか薄ら寒いものを感じる。
「みけんのしわー」
「ギャー」

  とす。

そんな効果音がぴったりの弓矢が、sakuraの額中央部に突き刺さった。受けた本人は低級モンスターのような悲鳴を上げて後方に倒れる。
「むつかしい顔、いくない」
「ふつうに痛かったです、サンタお嬢さま」
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posted by さくらもち at 23:11| Comment(3) | とある魔法師の物語

2008年05月16日

第四章 15話

ネビアが血の谷と呼ばれたのは、理由がある。
「ちょうどテモズとクァナトの中間地点に谷があって、そこが戦場になった・・・・って聞けぇ!!」
「置いてくよ〜?」
身軽な弓師たちが、凹凸の激しい地平を滑るように進んでいく。
谷には三つの段差があり、中央部には何かの祭壇らしき跡が残っていた。四方からの階段はあるものの、ほとんど何も残っていないに等しい。
それが何に使われていたか、知る者はもういない。
「レア武器!」
「レアアイテム!」
「けーけんち〜」
「それ一番しょぼい」
え〜、と不満げなデジレはともかく、サンタと凛はモンスターの攻撃をひらりひらりと避けながら、突き進んでいた。
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posted by さくらもち at 07:42| Comment(1) | とある魔法師の物語