2008年10月09日

第四部 20話

軽い眩暈と鼻をつく臭気に、悪い夢でも見ているような錯覚に陥る。ここはどこかと訊ねれば、そんな事も知らないのかと笑われる。
お前は、自らで足を踏み入れた場所が『何』か気づいていないのか、と。
「ここは死の国」
「死?」
「闇の帝王ハーケンが治める、シルバード最下層の世界だよ」
「しるばーど?」
大地は今まで見てきたどれとも違っていた。荒廃したヘルマーシュ大陸にだって、こんなただれた場所なんてなかった。地面の下からせり上がる根は、葉の一つもつけない大樹が生やしたものだ。
洞窟もある。
だが、これは『何』だ。土か。こんなものが生命を育むのか。
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posted by さくらもち at 12:24| Comment(3) | とある魔法師の物語

2008年10月04日

第四部 19話

キンストンはWishたちを見ると、シワだらけの顔をほころばせた。
「おぉ、やっと来おったか」
「モノグサたちがブータレるんで、集めるの手間取っちゃってね」
「ふぉふぉふぉ、若いうちは我侭も言うもんだて」
「世間話はその辺にして、さっさと送ってほしいんだけど?」
「おお。そうじゃったな」
頷いた老人は、おもむろに片手を出す。
「なに」
「地獄の橋渡しもタダではない、と言うじゃろ」
いつものをもらってないと言うキンストンに、Wishは顔色一つ変えずに一握りの金貨を渡す。直前で小さく舌打ちしたのは、たまたま近くにいたsakuraが聞いていた。
かといってツッコミを入れれば、数倍にして返されるので黙っている。
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posted by さくらもち at 23:47| Comment(3) | とある魔法師の物語