2008年05月23日

第四部 16話

深く考えたら負けだ。
そんな言葉が、灰になって消える氷の魔人から聞こえたような気がした。血飛沫はとうに谷の養分になってしまっている。モンスターの大小に問わず、その死体はきれいになくなる。便利だと思う反面、どこか薄ら寒いものを感じる。
「みけんのしわー」
「ギャー」

  とす。

そんな効果音がぴったりの弓矢が、sakuraの額中央部に突き刺さった。受けた本人は低級モンスターのような悲鳴を上げて後方に倒れる。
「むつかしい顔、いくない」
「ふつうに痛かったです、サンタお嬢さま」
「大丈夫、手加減してるから。たぶん」
「たぶんってゆった! 今、たぶんとかボソリ呟いた!」
「はいはい、どうどう」
凛が慰めてくれるものの、笑っているので慰めている効果はないに等しい。デジレはデジレで新しく湧いたディパメノーの相手に夢中で、引き抜いた矢が眼前を掠めてもビクともしない。
ツワモノ。
そんな言葉が、sakuraの脳裏に浮かんだ。
「みーけーんーのー」
「ナイナイ! 今は何もないッ」
「・・ちっ」
「今、舌打ちした! このお嬢さん舌打ちした!!」
「sakuraちゃん、いい加減にうるさいと思うよ」
「・・・・ハイ」
暴力反対とか、理不尽だとか、もっと労われとか言っても彼女らには無理なのだろう。尤も、収穫が思ったほどよろしくないので仕方ないといえば、そうなるのだが。
スネた気持ちで小石を蹴れば、トゲが溶けたようなゴツイ足にぶつかった。
「う?」
顔を上げる。
忘れたくとも忘れられない。生え際が心配なオールバックにしかめっ面、てらりと光る銅像の肉体と同じ色をした杖を握り締める巨人が、声高く吼える。
「勝てる心臓?!」
「ナイス誤字乙」
「褒めてんのけなしてんの」
「ついにネタがつきたのねって、哀れんでるの」
「二人ともじゃれてる場合じゃないよ!」
「ひゃあぅわああっ」
神は半裸でなければならない、と誰が言ったのか。ご丁寧に筋肉や衣装のシワまで再現された神像は、大きな杖の一突きでクレーターをつくった。声帯なんかあるはずもないだろうに、吼え声はネビアの空気を震わせる。
「sakura必殺、八つ当たりストライク!!」
「魔法師なら魔法使ってよぉっ」
「いいえ。へっぽこ魔法師ならば、あれが普通よ」
「デジレちゃん、なんで真面目な顔でゆってるの!」
「あ、なんとなく?」
「ああ〜っ、全然効いてない〜ッ」
「当たり前だあああぁ!!」
今度はプチ隕石が降り注ぎ、キャアキャアと魔法師が逃げ回る。その姿は非常に間抜けで滑稽で無様な事この上ないのだが、弓師たちも傍観している暇はなかった。
身丈は軽く三倍、くらいはあるだろうか。
顔を見ようとすれば首が痛くなり、正面を向けば小汚いスネが見える。その辺り目掛けて、彼女がベシベシと殴ったりしているのだが、背後から矢が突き刺さるようになって慌てて離脱した。
「凛、同士討ち反対!」
「あら、バレちゃったか」
「それにしても、同じ格好なのによく判別できるよね」
「だって名札ついてるもん」
「・・なふだ?」

*ねびあ豆知識*
仮面で顔が見えないとの苦情があり、某神が苦肉の策をひねり出したようです。
posted by さくらもち at 23:11| Comment(3) | とある魔法師の物語
この記事へのコメント
ネビア谷。。。
恐怖のマラソンコースだったねぇ〜
イベント中にあそこを何周したやら、、、

さて、そろそろ俺等(野郎共・・・With含む)の出番があるんじゃないのかな?(コチンは死んだままだしなw

だよな?
な?
な?
な?

まだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜?
Posted by 龍と虎 at 2008年05月25日 05:41
ずいぶんと平和な雰囲気が続いてるね〜^^
コチンは死んじゃった(?)けど、いつまでも読ませてもらうよw
Posted by こちん at 2008年05月26日 15:48
おあ、お久しうです野郎ども(笑顔。

でも、自分はムサイの嫌なんで…。
ノリが微妙になってきましたが、また近いうちに戦闘入りますよって、出番はその頃にでも!
Posted by さくらもち(管理人) at 2008年05月31日 04:45
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